「膝が痛くて、買い物へ行くのもつらい」「少し歩くと休みたくなる」「このまま歩けなくなるのではないか」――変形性膝関節症で歩くことに不安を感じている方は少なくありません。
歩ける距離が短くなると、外出や家事を避けるようになり、脚の筋力や体力も落ちやすくなります。一方で、痛みを我慢して無理に歩き続ければよいわけでもありません。
まず必要なのは、膝の状態を医療機関で確認し、なぜ歩きにくくなっているのかを整理することです。そのうえで、薬や注射、リハビリ、装具、整体、セルフケアなどを適切に組み合わせます。
変形した骨や、すり減った軟骨を整体で元に戻すことはできません。しかし、膝の曲げ伸ばしや、股関節・足首・骨盤・背骨の動きを見直し、膝に集中している負担を減らすことで、歩きやすさに変化が出る可能性はあります。
この記事では、変形性膝関節症で歩きにくくなる理由と、えふく整体院がどのような視点で施術を行うのかをお伝えします。
1. 変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が傷み、関節の隙間が狭くなったり、骨の形が変化したりする病気です。年齢、体重、脚の形、過去のケガ、仕事やスポーツによる負担など、複数の要因が関係します。
主に次のような症状がみられます。
- 椅子から立ち上がるときに痛む
- 歩き始めの数歩が痛い
- 階段、特に下りで痛みや不安を感じる
- 長く歩くと膝が重くなり、痛みが強くなる
- 膝が最後まで伸びない、深く曲げられない
- 膝が腫れる、熱を持つ、水がたまる
- 膝の変形が目立つようになった
症状とレントゲンでみられる変形の程度は、必ずしも一致しません。変形が強くても比較的歩ける方がいる一方、変形が軽くても強い痛みや不安定感によって歩行が難しくなる方もいます。
画像上の変化だけでなく、どの動作で、膝のどこが、どのように痛むのかを確認することが大切です。
2. なぜ変形性膝関節症で歩きにくくなるのか
歩行困難は、一つの原因だけで起こるとは限りません。痛み、関節の動き、筋力、バランス、歩くことへの不安などが重なって起こります。
2.1 体重をかけると痛む
立つ、歩く、階段を下りるといった動作では、膝に体重がかかります。関節内に炎症がある場合や、関節周囲の組織へ負担が集中している場合は、歩くたびに痛みを感じやすくなります。
痛みを避けようとして反対側へ体重を移したり、痛む脚に乗る時間を短くしたりすると、歩幅が小さくなり、身体が左右へ揺れる歩き方になることがあります。
2.2 膝が最後まで伸びない
膝が少し曲がったままでは、かかとから自然に着地し、身体を前へ運ぶ動きがしにくくなります。太ももの筋肉は身体を支え続けなければならず、歩くほど疲れや痛みが出やすくなります。
膝が伸びにくくなる背景には、腫れや痛みによる防御反応、膝裏や太ももの筋肉・筋膜の硬さ、関節包のこわばりなどが考えられます。強く押して伸ばすのではなく、何が伸展を妨げているのかを確認する必要があります。
2.3 痛みをかばうことで筋力や体力が落ちる
歩く量が減ると、太ももやお尻の筋力、全身の持久力が低下しやすくなります。立ち上がりや階段がさらに難しくなり、外出を控えるという悪循環につながることがあります。
ただし、痛みが強いときに無理をして長く歩く必要はありません。現在の症状に合わせて、運動の種類と量を調整することが大切です。
2.4 股関節や足首が十分に動いていない
歩行では、膝だけでなく、股関節、足首、骨盤、背骨が連動します。
股関節が硬くて脚を自然に前へ出せない、足首が硬くて前方へ体重を移せないと、その代わりを膝が引き受けます。骨盤や背骨の動きが少なければ、上半身の重さも分散しにくくなります。
膝が痛くて歩きにくい場合でも、膝だけを見ればよいとは限りません。
2.5 転ぶことへの不安が歩き方を変える
膝が抜ける感じや過去の転倒経験があると、無意識に歩幅を小さくし、足元ばかりを見て歩くようになることがあります。
慎重に歩くことは必要ですが、身体を固めすぎると、かえって重心移動がぎこちなくなる場合もあります。必要に応じて杖や手すりを利用し、安全を確保しながら動くことが大切です。
3. 歩けないほどつらい場合は、最初に医療機関へ
「歩けない」「体重をかけられない」という状態は、変形性膝関節症だけでなく、骨折、半月板や靱帯の損傷、感染、痛風・偽痛風などでも起こることがあります。
次のような場合は、整体よりも先に整形外科などの医療機関を受診してください。
- 転倒やひねった直後から、体重をかけられない
- 膝が急に大きく腫れた
- 膝に強い赤みや熱感があり、発熱も伴う
- 膝が引っかかって伸びない、曲がらない
- 歩いていると膝が突然崩れる
- 安静時や夜間にも強く痛み、眠れない状態が続く
- 痛みや腫れが急速に悪化している
- 脚のしびれや麻痺、著しい筋力低下がある
医療機関では診察や画像検査によって状態を確認し、薬、注射、リハビリ、装具、手術などの必要性を判断します。
整体と病院は、どちらか一方を選ぶ関係ではありません。診断と必要な治療を受けたうえで、身体の動きに対する施術を併用するという方法もあります。
4. えふく整体院で確認すること
えふく整体院では、最初から「骨盤の歪みが原因」「筋力不足が原因」と決めつけません。まずは、歩きにくさの現れ方を詳しく伺います。
- いつから歩きにくくなったのか
- 何分、何メートルほど歩けるのか
- 歩き始めから痛いのか、歩くうちに痛くなるのか
- 休むと楽になるのか
- 膝のどの場所に痛みを感じるのか
- 腫れ、熱感、引っかかり、膝崩れがないか
- 杖や手すりが必要か
- 病院でどのような検査や治療を受けたか
そのうえで、立ち上がりや歩行、膝の曲げ伸ばし、左右の体重移動、股関節・足首・骨盤・背骨の動き、筋肉や筋膜の硬さを確認します。
また、歩けるようになった先に何をしたいのかも大切にします。
- 近所へ自分で買い物に行きたい
- 家族と一緒に出かけたい
- 旅行先で歩けるようになりたい
- 庭仕事や趣味を続けたい
- 家族の手を借りずに生活したい
目標によって、必要な歩行距離や体力、施術と運動の進め方は変わります。
5. 骨格と筋膜の両方から歩きやすい身体を目指します
5.1 膝だけを施術しない理由
膝関節だけを動かしても、股関節や足首が硬いままでは、歩くときの負担は再び膝へ集まりやすくなります。
当院では、膝に加えて、背骨、骨盤、股関節、足首の動きを確認し、動きにくくなっている関節へ手技で働きかけます。身体全体で重心を移動できる状態を目指します。
5.2 筋肉だけでなく筋膜の滑りも確認する
太ももの前後、膝裏、ふくらはぎ、お尻などの筋肉や筋膜が硬くなると、膝の曲げ伸ばしや脚の振り出しが妨げられることがあります。
当院では、筋肉を強く揉むのではなく、筋膜の滑りが悪くなっている部分も確認し、関節の動きと合わせて整えます。
5.3 施術直後ではなく、実際の歩行で変化を確認する
施術後に膝が動かしやすくなっても、それだけで改善したとは判断しません。
歩ける距離、歩行速度、休む回数、買い物や家事のしやすさなど、実際の生活に変化が出ているかを確認します。次回来院までの反応も伺い、施術内容や運動量を調整します。
6. 自宅でできる基本的な運動
運動療法は、膝を支える筋力や関節の動きを保つために役立ちます。ただし、症状や体力には個人差があるため、痛みが強い方は医療機関などへ相談してから始めてください。
6.1 椅子に座って行う膝伸ばし運動
- 安定した椅子に腰掛けます。
- 片方の脚をゆっくり持ち上げ、無理のない範囲で膝を伸ばします。
- 太ももの前側に力が入っているのを感じながら、5秒ほど保ちます。
- ゆっくり下ろし、左右それぞれ5~10回行います。
勢いをつけたり、最初から足首に重りをつけたりする必要はありません。運動中に鋭い痛みが出る場合や、運動後に腫れが強くなる場合は中止してください。
6.2 椅子からの立ち上がり
- 安定した、低すぎない椅子に座ります。
- 足を床につけ、必要に応じて肘掛けや机へ手を置きます。
- 身体を少し前へ移し、手も使いながらゆっくり立ち上がります。
- ふらつきがなければ、ゆっくり座ります。
まずは3~5回から始めます。痛みやふらつきが強い方は、一人では行わないでください。
6.3 日常生活での工夫
- 杖や手すりを必要に応じて利用する
- 一度に長く歩かず、休憩を挟む
- 歩いた後から翌日に症状が強まる場合は、距離を見直す
- 低すぎる椅子を避け、肘掛けを使う
- 足に合い、かかとが安定する靴を選ぶ
- 痛みが落ち着いている日も、無理のない範囲で身体を動かす
歩き方を意識しすぎて、かえって身体を固めないことも大切です。「必ずかかとから着く」「左右均等に体重をかける」など、一つの型に無理に合わせる必要はありません。
7. もう一度歩きたいと思っている方へ
歩くことがつらくなると、「もう年だから仕方ない」「このまま外へ出られなくなるのでは」と不安になると思います。
変形性膝関節症は、短期間の施術ですべてが解決するものではありません。また、整体で変形そのものを治したり、必ず歩けるようになると約束したりすることもできません。
それでも、膝の動き、全身の関節の連動、筋力、活動量を見直すことで、今より歩きやすくなる余地が残されている場合があります。
病院で治療を続けても思うような変化がみられない方や、現在の治療に加えてできることを探している方は、一度ご相談ください。
当院でお力になれることと、医療機関での確認が必要なことを率直にお伝えします。「旅行に行きたい」「自分で買い物を続けたい」といった目標を伺い、そこへ近づくために今できることを一緒に考えていきます。
えふく整体院 院長の北村昌平です。柔道整復師の資格を持ち、これまで多くの患者様の身体のお悩みに向き合い、腰痛や坐骨神経痛、脊柱管狭窄症、股関節痛、膝痛など慢性的な症状の施術に携わってきました。また、私自身も酷い坐骨神経痛で苦しんだ過去があります。 施術を通して多くの方と関わる中で、痛みやしびれの原因は姿勢や背骨のバランスの崩れにあるケースが非常に多いと感じています。当院では背骨や骨盤の歪み、筋肉の状態などを確認しながら体のバランスを整え、根本改善を目指した施術を行っています。このブログでは、日々の施術経験をもとに身体の不調の原因やセルフケアの方法をわかりやすくお伝えしていきます。記事監修者








